2004年製作のアメリカ映画「パッション」は、当時スター俳優でもあったメル・ギブソン監督が、すべて自腹を切って作ったライフワーク的作品。彼の個人的信仰を表明したとも言える自主制作映画です。作品では英語ではなく、当時のイスラエルで実際話されていたアラム語を使用。衣装も全部手縫いだそうで、メル・ギブソンのこの映画に対する力の入れようがうかがえます。

この作品も「エクソシスト」同様、ショック死した観客がいたそうですが、確かに終盤で描かれるイエス・キリストの拷問シーンは壮絶です。このシーンがまさにメル・ギブソンが描きたかった場面だったようで、思い入れタップリに演出している、といった感じです。しかし、このシーンがあまりにもヘビーな描写だったからこそラストシーンとのコントラストが効果を上げ、忘れがたい作品になったのだと思います。